• 安い古本をぼつぼつと買っている。ほぼ毎日郵便受けに封筒が届いている。持っていなかった梅本洋一の映画批評だとか十年ぐらい前のホンマタカシのムックとかサラ・コフマンとか。梅本洋一はシェローやムヌシュキンたちの演劇について書かれた『視線と劇場』が、まだぱらぱらと捲っただけだが、面白い。ペーター・シュタインの『悪霊』のイタリアでの上演の記録を見ていたら、ドストエフスキーの原作が読みたくなり、江川卓の訳の文庫本を、本棚から引っ張り出してきて、三十年ぶりぐらいに読んでいる。これまでは『白痴』がいちばんだと思っていたが、『悪霊』のほうが面白いんじゃないかと、昔は退屈だった第一部(佐藤亜紀さんにインタヴュしたとき「あのステパン氏とワルワーラ夫人の「もちゃもちゃ」が好きなんだよね」とおっしゃっていた)をとても楽しみながら、読み進めている。昔の組みなので活字が小さくて、追う眼の滑りが楽で読みやすい。今の新潮文庫ドストエフスキーは活字が大きすぎて読みづらい。