2024-01-01から1年間の記事一覧

市立伊丹ミュージアムで「泉茂 1950s 陽はまた昇る」展を見る。2階の展示の小さな画面のエッチングの線の鋭さが濃くて何枚もじっと見ていると酔いそうになる。地下の展示の《題不詳(なまけ族)》という絵がよかった。1966年の《Work(別題:頌ピーコック)…

映画では何もかも、いつだって死んでいるし、いつだって生きている。もちろん、映画のストーリーのレヴェルでは、何ものかの生死は確定されているのだが、映画における人やものとは二次元の映像でしかないのだからそれは撮られた瞬間死んでいるし、しかしい…

慌てて帰宅して居間でいた「しま」をリュックに入れて病院まで行く。今日は2.65kgだった。また減っている。点滴と抗生物質の注射。帰って玄関でリュックの口を開けると、ぱっと出て、廊下で前足を大きく伸ばして坐り込んでいた。病院疲れよりも、暑気がきつ…

帰り道に寄った薬局で、そういえばもうなくなっていたのを思い出して綿棒を買う。家に帰ってきてから、そもそも買おうと思っていたのはウタマロ石鹸だったのを思い出す。

本屋を出たら夫婦のように見える中年の男女が前を歩いていて、女の方が男に「一回や二回のことで言うてるんと違うねん!五回ぐらいあるから言うてんねん!」と怒っていた。 帰宅して風呂に入る。マーティン・エイミスの『関心領域』を読み終える。翻訳がこな…

朝の通勤中の道で、作業用の手袋が舗道にへばりついていて、中指を立てる一瞬前のかたち、ぐらいになっており、せっかくなので中指だけに延び広げて、それから写真を撮ろうかと思うが、それは作為が過ぎると思いなおして、何もせず通り過ぎた。しかし昼にな…

センタープラザの「りずむぼっくす」でシノーポリの《ドイツ・レクイエム》が安かったので買う。帰宅してすぐに風呂に入る。とても気持ちがいい。判っているのにどうしていつもそうしないのだろう。さっそく買ってきた《ドイツ・レクイエム》を少し聴いてみ…

朝から読みなおす。もう少し行ける気がする。独りで悩んでいても何も出てこないのでメニングハウスの『吐き気』を読む。まるでメニングハウスにメールで問い合わせたら返事がすぐに返ってきたみたいな大きなヒントを得て、続きを書く。やっと、午前中に書き…

朝起きて「今日は原稿を終わらせるぞ」と呟きながらゴミ出しをする。 夕方まで書く。少し昼寝をする。また書く。佐々木敦還暦ドミューンを見たり見なかったりする。 ここで終わらせてもいいかもしれない、しかしここからもうひとつ進めるかもしれないという…

昼前に「しま」に起こされて起きて、原稿をやらねばならないのに村上隆の密着動画とか見ていたらトランプが銃撃されて「トランプは生きている!」Tシャツがもう売られていた。 ビル・ヴィオラも亡くなった。兵庫県美で見た「はつゆめ」展は、泰西名画風の映…

「しま」が寝床にやってきて、横で何か言っているので起きる。「しま」はそのまま押入の上のいつも開けてある天袋に籠る。ヘレヴェッヘの録音でブルックナーの《第5番》の第四楽章を聴きなおすと、昨夜の空間ぐにゃりは、おそらく13分30秒から14分40秒あたり…

夕方から環状線で福島まで。ザ・シンフォニー・ホールまで出て、高関健の指揮で、ブルックナーの《第5番》を関西フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会で聴く。ワーグナーは器楽こそが無意識を表すと書いていたのを思い出しながら、美麗精確なピッツィカート…

今日は午後診がないので早めに「しま」を病院に連れてゆき、点滴とビタミンの注射。体重は2.8キロ。また減っているのが残念。洗濯物を取り込んで洗濯機を回す。原稿の続きを書く。あともう少しで終わるはず。 夕方から出かけて(携帯を忘れているのに駅で気…

夜は病院に行く。今日は前回とは別の、だがやはり若い医師。ヘルニアの続きではないそうだ。「でないと腰が動くのがおかしいので」とのこと。「やっぱり違うよね、というのを確定させるためMRI撮ろうかな」と言い出したので、MRIに入ってまたあの音を聴きた…

クレンペラーのじくじくと甘い毒が滲み込むような《ヴァルキューレ》の第一幕の録音を聴きながら昨日の続きを書く。洗濯機を回して洗濯物を干す。 階段の下で「しま」が「ぎゃおー」と言うので降りてみるが別にいつもどおり。抱っこして彼女の鼻の頭に触れる…

朝から昨日の《Karma Police》の続き。ディスクリプションは終わったのだから立ち返るべきはメニングハウスだと思い『吐き気』を読みなおす。するとやはり、これは面白いがどう使おうかと思っていた箇所が使えることが判り、かつ、それで次のパートへの繋ぎ…

陽射しがきつい。先日『哲学用語入門』をぱらぱらと読んで、やっぱりアドルノはいいと思っだので、三宮の古本屋で定価よりはずっと安くてきれいで、上下の揃いで出ていたアドルノの『文学ノート』をえいやと買ってしまう。今日は柚子が「しま」を病院に連れ…

福島の工場に修理に出していたカメラが帰ってきた。

つまらなかった映画のことはどんどん忘れてゆく。夜道を歩きながら、数カ月前にじっくり見たはずのジュスティーヌ・トリエの映画のことを思い出そうとしてみるが、思い出せるのは、ほんのちょっとのショットとか音だけだ。ノーランだって『オッペンハイマー…

雨が降っているが夕方に止むという保証はないので、「しま」をリュックに入れて病院に。今日も点滴とビタミン剤。リュックの中に戻る時も、先生を威嚇しなかったのがまた可笑しい。 住む人がいなくなってしばらく経つ四つ角の家が取り壊し。職人たちが屋根の…

『記憶の棘』を見ている。なかなか纏まらない。思考も集中力も散漫である。夜中にヘレヴェッヘとシャンゼリゼ管のブルックナー《5番》の第一楽章だけを聴く。或る持続する長さを持ったショットが、その中で或る展開を終えると、ぷっつりと全然別の次のショッ…

洗濯物を干して「しま」にちゅーるを食べさせて、地下鉄で京都市京セラ美術館(本当に嫌な名前。この美術館、建物はいいけど全然好きじゃない)まで出てポンピドゥー・センターの「キュビスム展」をようやく見る。やはり最初のピカソとブラックの作品ばかり…

「しま」をリュックに入れて病院に。今日は点滴とビタミン。体重はついに3kgを下回る。点滴の間はおとなしいが、リュックの中に戻る時、ちらりと医者のほうを睨んで、威嚇の唸り声を上げるのは、いつもどおり。洗濯物を干す。「しま」は玄関の上り框に坐って…

うねりのある曲線美の東阪急ビルを見るのが好きだったので解体されるのは悲しいなと思いながら「名門」でお昼を食べてからディスクユニオンでアルノルト・エストマンのダ・ポンテ三部作のボックスとかウゴルスキのブラームスとかロスバウトのEMIの《フィガロ…

「SA60」のための原稿を書き終える。駅を出ると雨がざぶざぶ降ってくる。スーパーでパンとキャベツ半玉と二つ入りのモンブランを買って帰る。洗面所のドアの前で「しま」が啼く。水を飲みたいと言っている。ずっと一緒にいるから柚子にも私にもそれが判る。…

ジェームス・チャンスが亡くなった。帰りの電車の中で携帯に表示されたとき、自分でも吃驚するくらいショックだった。 「しま」を点滴に連れてゆこうと思っていたがうっかりしていて、水曜日の午後は診察が休みだった。「ちゅーる」を二本ぺろりと平らげる。…

朝はひどい雨、ひどい下痢。夜はシネマ神戸でニナ・メンケスの『クイーン・オブ・ダイヤモンド』を見る。鞄からカメラを出して写真を撮りたくなるようないいショットが何度も出てくる。しかしそれはたいてい、だらだらと続くシークェンスになる。あるいは、…

「しま」を抱っこして洗面台の縁に乗せて水を飲ませる。こしあんペーストも少しだけ舐めてくれた。私は、柚子が昨夜作ってくれたレンズ豆のスープを食べる。モーツァルト自身が指揮した《魔笛》の初演のオケにも入っていた、当時のオーボエの名手ヨーゼフ・…

書きかけの原稿ばかり増えてぴりぴりしているが、ひとつずつ焦らず進めてゆこう。 だらだらと眠って起きる。昨夜は雨が降って慌てて洗濯物を取り込んだが、今朝はすっきりと晴れている。 水を飲みたいと「しま」が洗面台の前にいるが、ジャンプするのが億劫…

風呂に入り洗濯物を干してから「しま」をリュックに入れて病院に。今日は点滴とビタミン剤の注射。その間はじっと黙っているのだけれど、リュックに入るときに、先生のほうをちらっと見て、確認してから唸り声を上げるのが、とても「しま」らしくて面白い。 …