日録

ずっと天気が悪かったので溜まってしまった洗濯物を片づける。ところが粉石鹸が一回分しかない。とりあえず風呂に入りながら洗濯機を回す。風呂から出て、洗濯物を干して、自転車に乗って洗剤を駅前まで買いに行く。粉石鹸を二箱と、並べて置いてあった襟袖…

今日から封切りの『ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争』を仕事のあとに見られるのが判ってチケットを押える。久しぶりに、最前列のど真ん中の席を取った。今日はJLGへの弔いの焼香のようなものなのだから、スクリーンと私の間に、誰も入れずに見…

夜は雨になる。駅を降りて借りた傘は、開くと幾つか穴が空いていたが、気にせず歩く。 今日もなかなかひどいのが届いたamazonマケプレの業者バリューブックスは、「品質には十分注意して発送いたします」と書いているが、検品のクオリティがだだ下がりに下が…

ずっと坐っていると、夕方にはヘルニアのせいで左足が痺れてくる。歩いているとましになるので、ちょっと中座して、フロアとフロアを繋ぐ階段をぐるぐると上がったり下りたりしている。監視カメラで誰かが見ていたら、まるで『十月』のケレンスキーのようだ…

曇り空で時折ぱらぱらと雨が降る。運転免許の更新に朝から出かける。講習を聴きながら車の運転はつくづく無理だと思う。明石駅前まで出たので「台湾牛肉麺 群ちゃん」で担仔麺と魯肉飯のセットを食べる。どこかに寄ろうと思うが、どこにも寄らず。帰り道の途…

今日はとても疲れている。駅へ向かって歩いていると、ガザでのイスラエルによる虐殺に反対するデモがちょうど終わったところで青年たちが「お疲れ様でしたー」と声を掛け合っていた。市田良彦の「転覆と反転:ジャック・ランシエール『文学の政治』をめぐっ…

嵐山まで出てお茶を飲み、上桂駅まで戻ってバロックザールでクァルテット・インテグラの《ベートーヴェン、未来を託す》と題された演奏会を聴く。ベートーヴェンの《14番》から《16番》まで。とてもすばらしかった。西宮北口で晩ご飯を食べる。

朝起きると美しくて淋しいピアノ協奏曲の断片が耳に鳴っている。夢で聴いていたのだろう。音楽だけが残っていて、夢の内容は判らない。木管が前に出て、それがピアノに受け渡されて短いフレーズを弾き、弦楽の調べが緩やかに包み込んで終わる。おそらく実際…

仕事のあと神戸駅のモスバーガーで柚子と晩ごはんを食べて、ふたりでハーバーランドのOSシネマズで三宅唱の『夜明けのすべて』を見る。上白石萌音が職場でシュークリームを配るシークェンスがある。コンビニやスーパーで売っている個包装のシュークリームは…

萱野稔人の『国家とはなにか』を読んでいるのだが、奇を衒った参照先ではなく基本のキのようなテクストだけで論を積み重ねてゆくのに感心する。そしてやっぱりウェーバーが読みたくなり、センター街のジュンク堂で野口雅弘訳の『仕事としての学問/仕事とし…

八時前には晩ごはんを終えて、本を読みながら早く寝てしまう。真夜中に眼が醒める。ぐるぐるぐるぐるどうでもいいことやどうしようもないことの断片が渦を巻く。脱げかけた靴下を履くとか何かしないとたまらんなと思って蒲団を抜け出して、大島渚の『少年』…

おとつい買った腕時計はオーバーホールが必要だったとのことで、引き取りはひと月半後になった。仕事の帰りに散髪屋に寄って髪を切る。昨夜風呂で読んでいて湯に漬けてしまった江原由美子の『増補女性解放という思想』は冷凍庫に入れて取り出したばかりなの…

風呂に入って本を読んでいると、柚子の「どしたん?」という声が台所のあたりから聞こえる。「しま」が鳴いているのだろう。私もよく同じことを、同じようなアクセントで「しま」に言っているので、笑ってしまう。「どしたん?」と聞いても「にゃー」以外の…

帰り道に元町で、アンティークの装飾品を扱う小さなお店に寄って、腕時計を買う。 先日センタープラザのりずむぼっくすで買ってきたソニック・ユースの『Sister』を夜中にぼんやりと聴く。ノイジィなロックだがノイズではない。

帰り道に中古レコード屋でシェリル・ステューダーが皇后を歌う、サヴァリッシュの振る《影のない女》のCDを買う。小澤征爾が亡くなる。失くしたボールペンが出てくる。

朝、柚子が「まだ早いけれど」と言ってデメルの猫の舌チョコの箱をくれる。昨日の夜眠るのが遅かったので、間歇的に重い膜のような眠りが襲ってくるが辛うじて踏みとどまる。

遅くまでだらだらと寝ている。洗濯物を干して、京都まで出る。ネーミングライツへのささやかな抵抗で、Googleに、京都駅から京都市美術館と入れたつもりが京都国立博物館となっていて、徒歩で20分と出る。そんなもんかと思って、京都芸大の前を通って本町館…

ちょっと中身を確認しておきたい奥野健男の『文学における原風景』が近所の図書館になく(もちろん増補版もなかった)、それだけのために買うには古書価が騰っているので困っていたが、調べるうちに、安価で手に入る『奥野健男文学論集』の第3巻に丸ごと入っ…

午後から出かけて鍼に行く。阪急電車の中で神島二郎の『近代日本の精神構造』を読みなおす。六甲まで出て古本屋をぶらぶら。陽が落ちたので帰路。 猫が鳴いているのとそっくりな声で話すおばさんがダウンジャケットを着た小さな犬を連れて散歩していた。

INCAPACITANTSの『as loud as possible』を聴きながら、聴覚にも、視覚のようにフレームがあるのではないかと思う。ジャンルを問わず、私が好きな音楽は、どれも共通して、この聴覚のフレームの中が、みっしりと充たされていると気づいた。この頃ずっとオー…

小さな鳥が枝に止まったのか、逆に飛び出したのか判らないけれど、その瞬間、冬でも茂っている、昨夜の雨を溜め込んだ街路樹の葉叢がしなって揺れて、ちょうど真下を歩いていた私の頭の上に、いきなりシャワーの栓が開いたみたいな水しぶきが落ちた。

帰り道は雨。家に近づきながら雨脚はますます強くなる。スーツの裾が濡れる。柚子に晩ご飯を作ってもらって食べてから、大島渚の『少年』を見る。冒頭の、やっと涙を流すことのできた少年が、屋台で焼きそばを食う父と母に寄ってゆくところまで。たった数分…

洗濯物を干す。「りずむぼっくす」の芦屋店に寄る。棚から武満徹の『水の風景』を買う。写真を撮りながら歩いて芦屋市立美術博物館に。「art resonance vol.01 時代の解凍」展をようやく見る。エントランスホールいっぱいの髙橋耕平も藤本由紀夫の空間も悪く…

「しま」を病院に連れてゆく。調子は良いので点滴もなし。「しま」は診察台から鞄の中に勢いよく飛び込む。 駅まで行ってから、財布を忘れてきたのを思い出して戻る。昼は堂山の「名門」でAセットを食べる。ディスクユニオンで取り寄せたCDを引き取る。天王…

昼から義父の25回忌と義母の17回忌の法事。柚子の整理整頓と掃除のおかけで滞りなく終わったが、家中の様子が変わって「しま」が爆睡している。私も会食から帰ってきてとろとろと昼寝。魯迅の『故事新編』を読む。1926年に書かれたらしい「剣を鍛える話」と…

夜中に目が覚めて、「しま」が窓際からこちらを見下ろしている(月明りをバックに尖った耳がふたつぴょこんと見えた)のを見つめ返す。柚子が会社に行くのを見送って、「しま」と蒲団で、日高勝之編著『1970年代文化論』所収の同「大島渚と蓮實重彦」を読む…

グレー混じりの堅いブルーの上にいろいろなかたちの雲が重なっていて、朝の空はきれいだが、とても寒い。去年手袋をどこにしまったのか思い出せない。ときどき行く古本屋は、今日はいつもふたりで坐っている店番の、おばあさんのほうがいなかった。

行き返りの電車の中で、大島渚が昭和四〇年代の後半に、映画雑誌ではないあちこちの媒体で書いた、短めのエッセイばかりを集めた『青春について』を読む。文筆家としても脂の乗っている時期で、ネタとしては別の本で語られていることもあるが、どれもすっき…

朝から抽選で当たった県美の野口里佳さんのワークショップに参加する。自分でピンホールカメラを作って、写真を撮るのだ。暗室で印画紙を切り(私の隣が島袋銀河さんだったのだが、慣れた手つきで迷いなく、さささっと名刺大に切ってゆくのには舌を巻いた)…

会議のあと慌てて梅田まで出て、マクドナルドでポテトのMサイズを買って歩きながら食べて、ペットボトルの桃の紅茶で薬を嚥みくだし、フェスティバル・ホールに着く。大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聴く。指揮は尾高忠明。武満徹の《オーケスト…