2021-01-01から1年間の記事一覧

カーショーの『ナチ・ドイツの終焉』を読み終える。見事な一冊。翻訳も良い。終わりを読むと始まりも読みたくなってベンジャミン・カーター・ヘットの『ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか』を読み始める。 駅前で柚子に頼まれた風邪薬とサランラップを買っ…

『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』を再読したらめちゃくちゃ素晴らしくてブラヴォー状態になったので、もう俺とは縁がないか……と思って買っていなかった若島訳の『アーダ』をいそいそと買ってきたのだが、今読んでいるのはカーショーの『ナチ・ドイツの…

『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』を再読している。 この小説は小説としてとても素敵な小説なのに、全然そこを読んであげていなかったよ、ほんとナボコフ先生すまんです、と思いながら、すごく楽しく読んでいる。普通に小説を読む(尤もらしく出てくる数…

朝起きると少し熱っぽく36.8度。軽い二日酔いのような頭痛の手前のような違和感が蟀谷のあたりに、膜を張っている。ロキソニンを一錠飲む。暫くすると熱は36.5度まで下がる。平熱。 出かける。少し動くと、ずいぶん汗ばむな、とシャツの袖の湿り具合を見て思…

最近ニュースでロシア語が聴こえるたびに、あの映画を思い出してじっとりするぐらいには印象に残ったのが『DAU/退行』だが、チェーホフの『桜の園』を浦雅春の新訳で読みなおして、つまりあの六時間の映画は『桜の園』のスプラッター版なんだと気づいた。 …

夜中に森一生の『不知火検校』が始まって、結局最後まで見る。頭の先から尻尾の先までえげつない。しかし森一生は子供(というか子役)を撮るのが本当に楽しいんだろうな。 晩年のTV時代劇まで、ずっと変わらない。

ちょっと袖丈の長かった夏用のジャケットを仕立屋に出したらおばちゃんの仕事が見事で、とても快適になったので、紙袋いっぱいに、くたびれてきたがこれからもずっと着たいギャルソンのコートだのジャケットだのややこしい服ばっかりを詰め込んで夏の間に持…

やらなければいけないことを付箋に書き出して貼っていったら、それなりにあって、しかもそれぞれに期日があったりするものだから、焦らず、しかし、ちょっと頑張らないといけない。 自分が思っているより自分が評価されているということもあったり、自分が考…

この頃ときどき、部屋を片付けようと思う。服を棄て、古いヴィデオテープを棄て、もうそれについて書きもせず参照もせず読みもしないだろう本を棄てようと思う。しかし、数日おきに古本屋から本が届く。古いヌーヴェル・クリティックの本だったり、写真集だ…

柚子とミント神戸で『クルエラ』を見る。これはタイラー・ダーデンがYA世代向けに書き換えた『プラダを着た悪魔』なんだと思う。あと一本ぐらい撮らないと『101匹わんちゃん大行進』のクルエラにはならない気がするが、これだけエマ・ストーンがかっこよくて…

ペーター・ハントケの『幸せではないが、もういい』を読み終える。面白いので、もういちど頭から読み始める。最近少しずつ批評や論文以外のもの、戯曲だとか小説を読んでいる。映画とおなじで、面白かったものは二度読むと、いろんなことが見えてくる(二度…

Netflixでアメリカ版の『ジ・オフィス』を見たりしながら次の『アラザル』の原稿を書いている。洗濯物を取り込むと、夕方から雨が降ってくる。『ハイゼ家百年』を見たせいでハイナー・ミュラーのまだ持っていなかった邦訳は全部買ったが、そのうちのインタヴ…

Twitterというのは、ここ20年でぶっちぎりの悪魔の発明だろう。糞だ。 この書き手は嫌いだなとか信用できないなと思った理由は、ちゃんとある。最近は、私の記憶が薄れてきて、そう思ったきっかけを忘れていることもある。しかし、久しぶりに、何かの拍子に…

佐々木先生の企画した講座の講師の人選が酷くて、がっかりする。玉石混交というか、本当に駄目。BOOKOFFの棚と同じ。無作為なら仕方がないが、先生の目という選択があるにもかかわらずこれではFUCKOFFだ。 夜は雨が止んだので溜まった洗濯物を真夜中に干す。

ひどい雨。職場を出て図書館に行くと、休館日だった。ズボンの裾を濡らしながら、整髪料と飲み物だけ買って、そのまま帰宅する。 先日買ったマナコルダのメンデルスゾーンの交響曲全集を聴き始める。四番と一番。PCの画面の光が眩しくて、モニタの電源を切っ…

原田眞人の『突入せよ!「あさま山荘」事件』をamazonで見る。現場のどたばたを見て笑うが、日本の組織のずるずるな駄目さが露わになって、やがて泣き笑いのような気持ちになってくる。アイリッシュ・フォーク風の音楽でごまかそうとしながらも、この駄目さ…

身体が疲労のゼリーでできているような感じが続いていて、数か月ぶりにようやく時間を作って仕事の帰りに鍼に行く。ストレスが溜まっていて、浮腫んでいるとのこと。ぶよぶよした疲れの靄の塊みたいだった身体が、ようやく分節化された気がする。

通販で頼んでおいた『マーク・マンダースの不在』の図録が届く。この展示をしている都現美は、結局今も開いていない。ぱらぱらと捲ったあと、柚子に渡すと、「マンダースの作品は、放っておくとそのまま消えてゆきそうな感じがある」という。マンダースは脆…

コンビニで買ったタピオカミルクティを飲んでいたら最後に残ったタピオカのひと粒を強く吸って喉の奥にぶち当ててしまい、痛い。帰宅してテレビでニュースを見ていると日本国民であることを日本国の政治家に馬鹿にされているようで苛々してくるので、パリ・…

朝、栄のホテルを出て、写真を撮ってあちこち歩きながら名古屋駅まで出る。毎日ガイシホールまでSKEのライヴを見に行く仕事ならいいのだが。 昼の部は緩い。終わってから金山まで戻り、写真を撮る。バッテリーが切れたので、駅前の中華料理屋で台湾ラーメン…

夜の天気予報でアナウンサーが言った、「広くおだやかに晴れたところ」という言葉が、とてもいいと思った。それは彼の読み方だったのか、語の並びが、私の記憶の中から何かが喚起された気持ちよさなのか。

TWICEの『Eyes wide open』はポップスのアルバムとして、とてもいいと思う。坂本龍一のポップスの試みのような《HELL IN HEAVEN》とかシティポップみたいな《SAY SOMETHING》とか本当に佳曲ぞろいで、しかも《BEHIND THE MASK》という曲で終わる。

昨日の夜中にクロエ・ジャオの『ザ・ライダー』を見る。小さな音、ノイズにずっと取り囲まれて生きている男の生。馬の呼気とか金具のかちゃかちゃいう音、テレビの音、夜の虫の鳴き声、iPhoneのスピーカーから漏れるかさかさしたサウンド。冒頭15分ほど見て…

梅田芸術劇場で《エリザベート》の25周年記念ガラコンサートを柚子たちと見に行く。春野寿美礼のどこまでも伸びる歌を聴いていると、ぞくぞくする。蘭乃はなの子供シシィや和央ようかの吃驚するほど自信満々の歌いっぷりや、大空ゆうひの実直な芝居や、とて…

夜によると、もう雨はだいたい止んでいるが、風が強くて冷たい。道に迫り出していた満開だった桜の花弁は昼間の雨ですっかり振り落とされて、黒い舗道の上や側溝の縁に分厚く積もっている。それは雨を含んでぶよぶよしているだろうと思うのだが、風に曝され…

朝、部屋に積んである写真集の柱が崩れて、もう一度積んだら、一時間もしないうちにまた崩れた。 YouTubeに全曲がアップされているマリインスキー劇場の《影のない女》を流していたら、これまでゲルギエフの作る音楽で感心したことなどなかったのだが、第一…