第一次大戦後のトリスタンとイゾルデ

  • 11時半起床。昼食兼の朝食を取る。終日、外に出ることなく過ごす。
  • 武藤浩史の新訳によるちくま文庫版の『チャタレー夫人の恋人』をようやく読み終わる。風邪の間は、こちらより本のほうがパワフルだったので読めなかったのだ。D・H・ロレンスに就いて文庫本の解説程度の知識しか持ち合わせない私は、彼がワーグナーをどう評価しているか知らないが、何と云うか、とってもワーグナーっぽい小説だった。第一次大戦後の英国を舞台に、貴族の奥方と使用人の、歴然たる階級差の不倫の性愛、稠密な自然描写、諸々の現代文明&知的生活への猛批判や、クリフォード卿が体現するナチズム&アメリカニズムvs猟番メラーズが体現する歌と踊りの革命だの、手持ちの札でぶち込めるものは総てぶち込んだ、と云う風情。これぞ小説。面白い。第一次大戦でヨーロッパは死んだわけだが、壊れる世界の進行は止まる処を知らないわけで、この小説の射程は現在も有効である。伊藤整の訳は、この武藤訳の出現で決定的に古くなったと思う。
  • 別宮暖朗『軍事のイロハ』を読む。別宮のサイト*1もだが、その著作も大変勉強になる。