- ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』(指揮:ドナルド・ラニクルズ。BBC交響楽団。Warner Classics)
- 『ハイドン:交響曲第82番「熊」、ショスタコーヴィチ:交響曲第15番』(指揮:クルト・ザンデルリング。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。Berliner Philharmoniker)
- 取り急ぎ、大好きなショスタコーヴィチの「第15番」を先に聴く。ザンデルリングの同曲の録音はベルリン交響楽団を振った1978年のものと、1991年にクリーヴランド管弦楽団を振ったものを聴いていて、前者を愛聴してきたが、これからは専ら、このベルリン・フィル盤を聴くことになるだろう。ショスタコーヴィチが書いた総ての音を残らず拾いあげるような、細部をゆるがせにしない、シャープで力強い演奏で、この曲の凄さや不思議さを彫り刻んでゆく。演奏時間も三つのなかで、晩年のこれが最も速い*1。とにかく素晴らしい名演。録音は1999年なので、ザンデルリングの解釈が更に深まったと云うこともあるだろう。だが、それを受けて実際に音を出すベルリン・フィルの巧さに、ほとほと感心させられた。もちろんベルリン・フィルもいつもこんな名演奏をしているわけではない。しかし、良い指揮者がきりっと率いるなら、こんなにも物凄い音を出せると云うのだから、やはり感嘆する他ない。録音もクリアで、非常に良い。
*1:1978年は第一楽章8:29、第二楽章15:21、第三楽章5:06、第四楽章19:41。1991年は第一楽章8:48、第二楽章16:19、第三楽章5:11、第四楽章20:23。1999年は第一楽章8:29、第二楽章14:49、第三楽章4:51、第四楽章18:33。