『メキシコ万歳!』をみる

  • このごろ、あっちの本を読み、こっちの本を読み、と喰い散らかしている。それぞれまったくばらばらの本だったらそんなこともないのだろうが、少しずつ重なり合うような本を読んでいるせいで、それぞれの本の内容が混じったり衝突したりすることがしばしばである。
  • スピルバーグは『シンドラーのリスト』を撮るとき、そのメイキングをゴダールに依頼するべきだったのではないかと、ディディ=ユベルマンを読みながら思う。
  • 休みなのでどこか出かけるつもりだったがだらだらと家で過ごす。DVDで、エイゼンシュテインの未完の『メキシコ万歳!』をみる。エドゥアルド・ティッセのキャメラは、若い娘のたわわな乳房を喜びをもって捉えている。短篇連作のようなつくりになっているが、途中で終わってしまうメキシコ革命直前のパートが素晴らしい。エイゼンシュテインの『ワイルドバンチ』とでも云えばよいか。馬上で寝そべるカウボーイのショットが最高である。そして、エイゼンシュテインの映画に、ニッケルのボディに白い象牙のグリップのM1911が出てきたことに、ふかく感動する。エイゼンシュテインはハリウッドでは映画を撮ることができなかったが、しかし彼は紛れもなく西部劇を撮っているのである。