• 「しま」をみていると、ときどきどうして彼女が私たちと同じ言葉ではなく「ニャア」とかしか云わないのか、それがとても不思議になることがある。これは猫である「しま」と私たちとの間に、しばしば会話が成り立っているゆえである。
  • 柚子が買ってきてくれたインド料理を食べる。とてもおいしい。柚子と、本当に旨いものを食っているときは、とても愉しい。
  • 『新潮』六月号に載っている福田和也の「食うことと書くこと」を読む。ずば抜けて頭が切れて口が達者だった親父のリハビリをみつめているような気分になりながら、しかし、こういう、とてもとてもとても繊細で、それを守って包み込むかのようにみっちりと身の詰まっている福田和也の批評文を読んだのはずいぶん久しぶりで(石原慎太郎のことさえ口述で済ませてしまったのに先日驚いたばかりだったから)、率直に云えば嬉しかったし、福田和也にしか綴ることのできない言葉が、がっちりと掴み取られて、ここには並んでいると思った。