• 朝、公園を通り抜けるとき、砂場のへりに腰掛けて、砂のトンネルを掘っている小さな男の子を見つめながら、父親だろう男が、缶ビールを呑んでいた。
  • 夜、山本君と電話で話す。どうしたって、写真の話になる。「考える前に撮らなきゃダメだよー」と、やっぱり云われて、頭を掻く。

  • 須田亜香里AKB48としてSKEからたったひとりで『ミュージックステーション』に出るので、職場からばたばたと帰宅して録画する。肩を出した衣裳の須田さんの、よく鍛えられてなめらかな背中は、とてもきれいでほれぼれする。須田さんは後列でもどこでも必ずきらきらしているけれど、もっと前のほうでぎらぎらしているほうがより素敵だ。
  • 洗濯物を干す。ぽつぽつと雨が降ってくる。自転車のブレーキを軋ませて、柚子が帰ってくる。
  • 畠山直哉の『まっぷたつの風景』をぱらぱらとみながら、好きなように撮るしかない、じぶんで決めて撮るしかない、と思う。
  • ジジェクふうにいうなら、我が国はもう「国家を無化する国家」としての「珍国家」みたいなものなのかもしれない。
  • タランティーノについては『ユリイカ』に載せた批評のゲラをなおしているとき、最後の一行をやっと思いついたので、これはもう少しいける。なので、あと一本は書くつもり。このままでは終わらせない。
  • 昨夜に引き続いて、写真を選んでtumblrに貼りつけている。ジャン・ジュネの『恋する虜』を買った。

  • 柚子と昼から出かけて中之島公会堂マシュー・バーニーの『リヴァー・オブ・ファンダメント』をみる。『クレマスター』の全上映会にも柚子は付き合ってくれたのだった。
  • 未分化の、なにものに変化するかまだ決定されていない粘液を溜め込んだ袋には、開閉の調節可能な弁のついた穴があり、そこからいろんなものが出たり入ったりする。入るものは14分割されたアメ車や頭蓋にのめり込む銃弾から出るものは大便やら水銀の精液までさまざまだが、このイン/アウトの運動がひたすら繰り返される。このイン/アウトをし続ける存在としての自動車から人間の営みが捉えなおされる。逆ではない。
  • KJも激務のなか見にきていて、帰りに三人で淀屋橋駅のベローチェでちょっとお茶をする。

  • 朝いちど起きて、柚子が出勤するのを見送り、ペットボトルを棄てておいてねと頼まれる。蒲団の上に転がって眠る。
  • 昼前に起きて、公園の外まで、資源ゴミがまだ出されているかを確認しに行く。小雨が降っているので、白濁色のビニール傘をさして。家に戻り、カメラを首からぶらさげて、ペットボトルばかりがいっぱいに入った驚くほど軽いゴミ袋を持って、公園のいちばん向こう側まで歩く。写真を撮る。うずたかいゴミ袋の山のなかで、それを積み替えているのか何かを漁っているのか、こちらからは彼女の背中と尻の一部しかみえないおばあさんがいるのに、ようやく気づく。ゴミ袋を置いて、そっと立ち去る。入ったことのない路地に入り、写真を撮る。写真を撮るのは、とてもやましい。もの盗りが空き巣を物色してうろうろしているのと、たぶん同じだから。シャッターを押すために一瞬立ちどまるたび、ひやっとする。

  • 職場のどうでもいいレポートも、じぶんで書く批評も、書いているのは私だからどちらもだいたいそんなに書くのは早くなくて、いつも困る。
  • 雨がざざっと振ってくる前に洗濯物を取り込み、皿を洗ったりする。夕方から大阪まで出て、画廊をひとつ覗く。セブンイレブンでコーンに入ったアイスクリームを買って舐めながら、このごろとても怒りっぽくなっているのをじぶんでも認める。子供のころ、私は癇症で、たぶん母はずいぶん手を焼いたのだろうが、私はそのたび、じぶんなりの理屈があって怒っているので、憤懣やるかたなかったのを、ぼんやり思い出す。写真を撮りながらぶらぶら歩いて堂島のジュンク堂。何か一冊買おうと決めて、ウティット・ヘーマムーンの『プラータナー』を求める。帰宅して柚子とKFCを食べる。

  • 朝、近所の駅まで戻って、そのまま歯医者。麻酔をかけられて、虫歯をごりごりと削られ、樹脂で埋めて、この箇所の処置はこれで終わり。次の箇所はまた歯形を取って、になるらしく、次の予約をとる。帰宅して、柚子から頼まれていた梅の木の枝を切ってつめたゴミ袋を棄てて、鍼に行く。「コフタ」でカツカレーを食べて、名古屋に。柚子と「しま」へのお土産にエスカ(SKEメンのポスターがなくなって悲しい)で「赤福」を買ってから栄に出る。街中でうろうろと写真を撮ってから劇場に。チームS《重ねた足跡》公演をみる。若手メンバーも多かったが、きょうは凝縮度がいつも以上に高くて、すごく充実していたような気がする。MCなしでぶっ飛ばす最初の四曲、その最後の《強がり時計》の世界にのめり込んでいるせいで、他のメンバーより帰ってくるのが遅れて放心状態の、しかも帰ってきたら帰ってきたで、完璧につくってきた前髪がぐちゃぐちゃになっているのに気づいて、それをどうにかしたくてずっと髪を触っている野島樺乃が、最高に愛おしかった。