大林宣彦の『理由』

  • これまでに観た日本映画のワースト1は、大林宣彦の『SADA』である。実に胸糞の悪い駄作だった。チラリと出てくる竹内力の、陸軍の青年将校は恰好良かったが。
  • 大林宣彦の撮ったものを最初に観たのは『ふたり』だった。しかもNHKのドラマとして(いま調べたら1990年の放送だ)。中嶋朋子石田ひかりも、とても素晴らしかった。胸がきゅんとなったものである(まだ私も中2だし・苦笑)。小遣いを貯めて、映画版のLDや大島弓子の表紙のカットが素敵だった赤川次郎の原作本も(結局読まなかったが)買ったものだ。
  • 怖ろしいほどの傑作『HOUSE』を観たのは、高校のころだったか、深夜放送のTVだったのを覚えている。呆然としつつ観た。無茶苦茶なんだが、傑作としか云いようがなかった。池上季実子南田洋子が凄かった。クンフーの使い手の女の子が個人的にド直球の萌えキャラだったように思うのだが、女優さんの名前は判らない(神保美喜ってひとらしい)。
  • 大林宣彦の新作『理由』*1(原作は宮部みゆき。未読)を観た。2時間40分の長尺だが、4時間くらいあってもよかったと思った。ダレずに引っぱってゆく手腕だけでも、さすがに大したものだ。役者の配置と脚本の構成が巧みである。岸部一徳の演じる管理人がベランダに出て語る最後のシーンの、背後の夕焼け空の色がこの世のものではない不気味な色調で、たいへん素晴らしい。また、南田洋子の美しいのにも驚かされる。

*1:『理由』公式サイト http://www.riyuu.jp/