貧乏父さん放浪記

  • 9時、柚子の帰宅と同時に起床。柚子はやがて、自室で昼寝を始めた。本棚の整理、やっと漫画が終わる。あとは文庫と、大判の画集やパンフレットを片づければ総て終わり。その後、私もポゴレリチの弾くスカルラッティを大きな音で聴きながら、蒲団の上でひとり、暑さにばてて転がっていた。次々に繰り出される音の粒が、弾み、跳ねまわるさまが、くっきりと判る。私の耳が、このCDをちゃんと聴いたのは今日が初めてなのだろう。素晴らしい演奏だ。夕方、独りで出掛ける。
  • 「2億円のある生活」の惹句の下で、常磐貴子が笑っている梅田の宝籤売場。『悪魔のKISS』のころは良かったなァ、そうか2億かぁ……まず諸々の生活苦の根源である借金をすっぱり清算して、餓鬼のころからの夢のバイロイトに詣で、それから子どもでも作るかァなどと暫し妄想に耽るが、宝籤を買う3000円ぽっちの金が、外れてスカになるときのことを考えるとぶるって出せない私である。2億どころか500円、DVDの『パルジファル』が予想より僅かに高かった所為で足が出て、もう棚に並んでいた菊地成孔の新譜を買えず。そこらの小学生より金がないじぶんが恨めしい。鬱である。金もないのに中古CD屋と古書肆も廻るが、収穫なし。帰路に。柚子に買物を頼まれていた檸檬を駅前のスーパーでひとつ求め、8時半帰宅。夕食後、柚子に「3億あったら何に使う?」と訊ねる。やめときゃいいのに、だんだんじぶんが惨めになってくる。ううっ、鬱。入浴後、3時就寝。
  • ロイス・レンスキーのスモールさんシリーズの絵本が、2色刷りから4色刷りの新装版になって再刊していて吃驚。幼いころ私が、『ちいさなじどうしゃ』から受けた現在に至る影響は、計り知れないと思う。