『アマリール氏の事件簿』を観る。

  • 昼から柚子と出掛け、シアターシンクタンク万化*1の新作『アマリール氏の事件簿』を観に行く。会場で、弟とF大兄夫妻と待ち合わせる。小屋のなかで全身ピンクのロリ服でぎっちり武装したK嬢と会う。
  • 今回の舞台は、大東亜戦争(に良く似た、鏡の国の戦争)の開戦にいたるまでを、政情の不安定な某中立国に置かれた日本(に良く似たと或る国)大使館を舞台に、新しく着任した青年参事官が前任者の死の謎を追う推理劇を絡めながら、描くものだ。
  • 物語の筋は、大使館の中の密室殺人の推理劇と、現地人のドジっ娘めがねメイド(演じる大沢めぐみ、激萌え)の正体と、海外に遊学していた日本(らしき)のお転婆な皇女の帰国劇と、ナチス・ドイツ(らしき)の軍人と、独(らしき)に占領された仏(らしき)の女性外交官との秘めた恋、などが進展してゆくのだが、そのひとつひとつの結びつきが緩く、どれも中途半端で捌き切れていない様子だった。
  • 成るほど、それぞれが世界大戦の暗雲の立ち込める時代の悲喜劇の相であると云いたいのは判るのだが、やはり、脚本が些か練りきれていないと云う印象を受けた。もう少し「寝かせる」べきだったのではないか?
  • とても意欲的な作品なのだが、残念だった。
  • しかし、鏡の国の歴史を通して、われわれの近現代史を撃ち抜こうとする万化の座付作家である美浜源八のチャレンジは、とても面白いし、演劇でなければできないことをやってみせようと云う姿勢は、やたらと単純化が進む現在、とても頼もしい。次回作は『多勢に無勢2』だそうだが、今後も歴史への取り組みを、大いに期待したい。
  • 役者陣だが、女性外交官を演じた有元はるか*2の芝居が良かった。有元はるかは、最近とても安定していて、万化では、彼女の芝居を見るのが愉しみのひとつになっている。定番のギャグ「マクドの肉は×××肉」は封印して演じられた、島功一の神経質な大使も好演。
  • 皇女を演じた新人の村井友美も抜群の雰囲気がある。肝が太いとでも云おうか。さて、次の舞台が愉しみ。