モンティ・パイソンのスケッチではない。

  • エミリオ・ルッスの『戦場の一年』を読み終える。
  • 大変濃密な戦場の----正確には、戦場で右往左往する人間たちの描写に驚かされる。
  • 完全に正気な狂気と幸運に取り付かれている「吸血鬼」レオーネ将軍、アフリカでの戦争(第一次大戦勃発のひとつの要因は、欧州各国の植民地獲得戦争があまりにも楽で愉しく、さっさと片が付いたために、どの国も戦争がすっかり癖になってしまったからだとする説がある)を塹壕にも持ち込もうとする少佐と彼の混乱の顛末、機関銃隊を率いてローマ進軍を目論み同僚たちに反対され、スキー部隊を率いて自軍の食糧庫を襲撃するオットレンギ中尉(このあたりの挿話は絶望的なまでに軽やか)、酒を飲み過ぎて、カルヴィーノ的な奇行を繰り返す大佐、何度失敗してもへらりへらりと、必死に戦場から逃れようとする兵士マッラージ・ジュゼッペの挿話、そしてそれらを、酒を飲まずじっと見つめている「わたし」……。19世紀を決定的に破壊し、真の意味で20世紀を開始させた第一次大戦なるものの暴力が、とても良く判る傑作。
  • そして、アリオストの『狂えるオルランド』が猛烈に読みたくなる本だった。
  • ちなみに右の写真は、この本を原作にしたフランチェスコ・ロージ監督の『総進撃』*1より。ヴィデオもDVDも出た様子がなく、残念ながら未見である。エミリオ・ルッスは、この映画を評価しなかったそうだが、こんな写真を見せられたら、観たくなるのが人情である。ちなみに、このコントのような場面の中身をお知りになりたい方は、このままの情景が出てくるので、『戦場の一年』をお読みになることをお薦めする。
  • W・G・ゼーバルトの『土星の環』を読み始める。
  • 十時を過ぎて布団から起き出したとき、けさ、出社する柚子が私を起こして、仕事が終わったら三宮で会おうと云って、私はうんうんと頷いたような気がしたのだが、それが夢だったのか現実だったのかが判らず、柚子にメールで問い合せると夢ではなかった。
  • 神戸の古本屋で取り置きを頼んでいた島田謹二の本を引き取り、再び電車に乗りいつもの散髪屋に行くが、混んでいるので諦めて、そのまま久しぶりに実家に。母と祖母と話す。猫と遊ぶ。
  • 柚子と待ち合わせて、夕食を「ピノッキオ」で取る。私はカウンター席がやっぱり苦手だ。確かにピザは旨かったと思う。
  • その後、「珈琲もえぎ」の三ノ宮店でお茶を飲み、帰宅する。