狩野永徳と三十三間堂

  • ベランダの金魚金銀に餌をやる。水面を見つめているが、水草の影の下からなかなか姿を現わさず。諦めてそのまま洗濯物を干して、ふと再び目を落とすと、赤い塊がふたつ、ゆらゆらと縺れ合いながら、水面の餌を啄んでいる。
  • おでんを持って姑の病院に行き、やがて配膳されてきた昼を食う隣で、少し話をする。階下まで送ってくれる。
  • 京都駅で弟と待ち合わせ、京都国立博物館で、特別展覧会「狩野永徳*1を観る。
  • どう云うふうに絵を目玉が追えば良いかと云うのを、絵の画面そのものが教えてくれる。視線をごく自然に導くのが怖ろしく巧いのである。屏風絵の、ダイナミックな横の流れと、それと交差する垂直と斜めの配置が、画面に疾走するような動きを作っている。時を経て煤けた金箔の、渋い輝きの美しさに惚れ惚れする。また、河川のおもてを躍り上がる水飛沫の描線の奔放さが、図抜けていて、良い。それら総てが凝縮されているのが、あの「唐獅子図屏風」なのであると得心。京博の特別展の目録はいつも尋常でない気合の入りようなので、今回も当然、買う。
  • 弟がお薦めであるという「三十三間堂*2に初めて行く。シンプルな空間のなかに、1,000体の仏像を並べられた、未曾有の狂える極楽が充溢している。ものすごく面白い場所であった。
  • マクドナルドで遅すぎる昼食を取り、弟の職場の話などを訊く。梅田へ出て、CD屋を数軒ぶらり。欲しいCDだけがなかった。