晩秋のキジトラ

  • 「しま」に蒲団から出た足を齧られて、朝は起きる。空気が冷たい。湯船に浸かり、『精神現象学』の続きを読む。
  • 昼飯を食う。先日、義姉から貰った薩摩芋は到底私と柚子とでは食べきれないので、斜め前と、キジトラの縞猫がいるすぐ隣の家に少し持ってゆく。
  • 午後、隣町まで自転車を漕ぐ。猫のカリカリのポイントカードがいっぱいになったので、いつも其処で買っているペットショップへ「しま」のご飯を引き換えにゆくのである。
  • 先に郵便局へ寄り、古本屋への支払いを済ませる。家に帰ると、「しま」のご飯皿は、すっかり空になっていて、封を切ったばかりのカリカリを入れる。
  • よく晴れているので、洗濯物をベランダに干す。「しま」がベランダへ出たがるので、ガラス戸を開けて彼女を抱き上げ、框へ腰をおろし、膝の上に乗せて、ふたりでぼーっとしている。
  • 夕方からアルバイトへ。カーディガンの上から冬のジャケットを羽織って、自転車を漕ぐ。
  • 帰り道、途中にあるスーパーで、レディーボーデンのストロベリー味を買って帰る。帰ると、柚子は、さっそく電熱の暖房を引っ張りだしてきて、「しま」とふたりでその前で坐っている。
  • 晩御飯を食べて、熱い紅茶を飲みながら、少し融け始めた苺味のアイスクリームをふたりで食べる。
  • 柚子が眠ろうとしている(眠り始めた)蒲団の横で、ビニール紐のきれっぱしをくわえて持ってきた「しま」と、それを使ってドタバタと遊ぶ。
  • 真夜中、久しぶりに日記を書いていると「しま」がやってきて、私の後ろで遊べ遊べとニャアニャア鳴く。足許へきたところを、ひょいと膝の上に上げてしまう。そのまま、左手で抱きかかえて彼女の首の後ろを指先で撫でながら、右手でキィボードをぽちぽちやっている。時折、下を覗くと、「しま」が目を細くして、ぐるぐると喉を鳴らしているのがみえる。
  • ところで、私も柚子も忘れていたのだけれど、きょうは結婚記念日なのだった。もちろんこれは、数日後に追記しているのである。