• 朝起きて洗濯機を廻す。三宮まで出て、H監督と会い、茶を呑み、昼飯を食いながら、打ち合わせ(?)をする。藝能に於ける「かた」の話になり、人間個人がどうしたって持つ自己愛や自意識などの臭味を取るためにあるのではないか?とH監督が云う。
  • U君、体調不良とのことできょうの打ち合わせは延期。そのまま神戸までぷらぷらと歩いて古本屋を覗く。映画をみるための金がなくなったので、そのまま帰宅する。
  • 車窓のすぐ向こうに海岸が迫っている。濃い霧のような奥行きのない雲に空は隅々まで覆い尽くされており、その下に拡がる海面は同じ色にすっかり染めあげられていて、水平線のあたりにだけ、わずかな濃さを帯びたグレーのひと筋が、海と空の境をぼんやりと示している。車窓から眺めている所為で、まるで絵画か映画の画面を眺めているかのような心持ちであるが、それでも私は、刻々と姿を変える海を眺めるのがとても好きだ。
  • 帰ると「しま」が玄関まで飛んできて、私を硝子戸の前まで連れてゆき、網戸にして風を通せ、庭がみえるようにせよと、指示する。
  • トム・ジョンソンの《AN HOUR FOR PIANO》を聴きながら洗濯物をベランダに干していると、また雨がぱらぱらと降る。
  • ところでこの《AN HOUR FOR PIANO》、大変面白い。耳から、音の連なりとして、この曲の仕組みそのものがひたひたと滲みこんでくるふう。