• 駅までの舗道の路肩に、柳の樹が植わっていて、もうすっかり黄色く枯れた葉が風に吹かれて落ちる。細長いボートのようなかたちをした枯葉は風に巻かれてくるくると回転しながら舗道に落ちて層をなして積もる。そこへさらに風が募って、吹きまくられた柳の枯葉どうしと舗道とが擦れあって、まったく水分のない、ぱりぱりに乾いたかさかさかさ……という盛んな音があちらから、こちらから、起る。ずれながら重なってゆくその響きを、じっと聴きながら歩く。
  • 暗くなるのが、もうすっかり早くなった。