• うねりのある曲線美の東阪急ビルを見るのが好きだったので解体されるのは悲しいなと思いながら「名門」でお昼を食べてからディスクユニオンでアルノルト・エストマンのダ・ポンテ三部作のボックスとかウゴルスキブラームスとかロスバウトのEMIの《フィガロ》と《ドン・ジョヴァンニ》などを買う。新大阪の駅の地下で古本市をやっていてアントニーペンローズの『リー・ミラー』が安くてきれいだったので買う。この本にはリー・ミラー自身が撮ったいい写真も、モデルだった彼女を撮ったものもたくさん載っているのだが、彼女の父親が撮ったヌードのステレオ写真を、本を開いて寄せたり引いたりしながら、ハンス・ロスバウトの振る《ドン・ジョヴァンニ》を聴いてみると、ドンナ・アンナのテレサ・シュティヒ=ランダルをはじめ、歌手たちの声の輪郭がくっきりしていて、それがやりとりされるスピードとかタイミングがとても気持ちよくて、吃驚する。