これぞ正しい怪獣映画

  • 試写でポン・ジュノ監督の『グエムル 漢江の怪物』*1を観る。
  • ゴジラ』や『ウルトラセブン』などを見れば判るように、日本の怪獣映画は同時に、戦後の日本とアメリカを巡るポリティカルな映画でもあるわけだが、遂に韓国で、最近の日本の映画界が生み出せなかった、正しい怪獣映画が撮られたことに感心する。ゆうきまさみの「廃棄物13号」は、ポン・ジュノにこそ撮ってもらいたかった。
  • 往年のドリフのコントみたいなおちゃらけた場面から、黒白で、じゃざじゃざ降る雨を撮っていた頃の黒澤明のそれみたいな弩シリアス画面まで、撮影のキム・ヒョングの仕事が素晴らしい。
  • ソン・ガンホは、寝ッ屁をひることだけが仕事みたいな超ダメ親父を演じて素晴らしいし、その妹で、勇気のないアーチェリー選手を演じるペ・ドゥナも良い*2。彼らが織りなす家族劇も、非常に丁寧に撮られていて、面白い。
  • もちろん、怪獣映画なのだから怪獣がダメならどうしようもないが、漢江に掛かる大きな橋を振り子のように移動するそ奴の動きは、大変、見応えがあった。
  • 非常に丁寧に撮られた、真正の怪獣映画だった。最近の日本の怪獣映画はダメだぁッと叫ぶ御仁にこそ観ていただきたい。
  • 夜、仕事を退けてからU君と会っていろいろと話す。

*1:http://www.guemuru.com/

*2:さらに、学生運動に深入りしすぎて、大卒なのに就職できなかった弟が出てくる。彼を見ていて、ああ今の韓国はちょうど日本で云うならば1970年代の終わり頃なのかな、と思った。そういう意味では、ポン・ジュノ長谷川和彦みたいな存在なのだろうか?