20世紀のツインズ

  • 建築家と映画の関係は、なかなか興味深い。『ブレイキング・グラウンド』の中に出てくる、リベスキンドによる『シャイニング』小論。

自分の国の精神的な歴史や現実から目を背けるなら滅亡を覚悟せよ。それが、スタンリー・キューブリックの映画『シャイニング』から私がいつも受け取るメッセージである。私はこの映画が大好きだ。映画の中で、ジャック・ニコルソンシェリー・デュヴァルはロッキー山脈の奥深くにある巨大なさびれたリゾートホテルで何者かに追い詰められる。人によって映画の解釈はいろいろであろうが、私にとってこれは建築論であり、すべての建物の組織の中には過去や、亡霊たちや、霊的な現実が巣食っているというお話であり、だからこそ、そうした力に抵抗しようとしないと、恐ろしいことが人には降りかかるのである。9・11の事件以来、この映画が頭から離れなくなってしまった。あのかわいい双子の姉妹の死の光景は、ツインタワーそのものの光景として幾度となく脳裏に甦った。