内田と茂木と現代音楽

  • 朝、少し雨が降る。昨日の夜、帰りながらいい調子で「満鉄小唄」*1なんか歌ったのがいけなかったか。
  • 定時で仕事を終え、U君とJR大阪駅で落ち合い、満員だったので諦めていたが、彼がチケットを取ってくれた内田樹茂木健一郎の対談を聴きに、吉野家豚丼を三分でかっ込んでから、堂島の朝日カルチャーセンターへ。
  • ミラーニューロン鏡像段階合気道に於ける鳥瞰的自己把握の重要視の謎……と、手持ちの札をとにかく繋げたがる内田樹と、俺の欲しいカードはこれじゃない!と、手持ちの札をどんどん投げ棄てては、次のカードで劇的なアガリを狙う茂木健一郎の対比が頗る面白い。基礎づけをやりたがる茂木健一郎が、いまカントの評伝とニーチェベルクソンを読んでいると云うのは妙に納得だったし、ブリコラージュするひとであると自己を規定する内田樹が『仁義なき戦い』が好きでニーチェが苦手だと云うのもやはり納得だった。
  • 講演が終わり、会場で「PROVOKE」の「M2」こと、MT氏とMR氏と邂逅する。MT氏とは初対面。
  • 梅田のタリーズで四人で駄弁る。
  • U君の「五十年後、いまの現代音楽はどういうものとして捉えられているのか?」と云う問いに答えて、おふたりが答えてくれた現代音楽の現在と、ちょっと昔と、三十年昔のそれぞれの把握法が、現在の哲学や文学の状況と通じるものがあり、興味深く聞く。
  • 特に現在は、アカデミズムの現代音楽と、テクノロジー(コンピュータ)が安価で大量に出回ることにより可能になった、謂わばヨドバシカメラの現代音楽との境界がぐずぐずに融解してきていて、それが可能性の中心でもあり、衰退の一様態ともなっているとのこと。
  • さらにU君の「現代音楽とは何?」と云う問いに対して、「例えば、猫がピアノの鍵盤の上を歩いたときに鳴る音をイメージしてください……」と音響面から説明するMR氏と、「バッハやベートーヴェンなどのクラシック音楽から繋がっている……」と音楽史の継続と云う歴史面から説明するMT氏の、それぞれに的確な答えを聞き、やはり素敵な二人組だとしみじみ。