『ワイルドバンチ』とティーガーIIの狭さ。

  • 先日、古本屋で買った『ワイルドバンチ』のDVDを観る。
  • タイトルバックが格好良い映画は大抵、良い映画であるわけだが、この映画も例に洩れない。ウィリアム・ホールデンらの強盗団「ワイルドバンチ」が馬でやってくると、道端で子供たちが愉しげに、蠍が蟻の大群に殺されているのを突っついて、遊んでいる。映画の総てが、此処で凝縮されている*1。そして時折、総ての動きが止まり、カラーの映像からスパッと色が抜け、コントラストの強烈な白と黒だけの影絵のようになり、其処へキャストやスタッフのクレジットが入る。これが何度観ても猛烈に格好良い。
  • ペキンパーの映画はやっぱり好きだ。『ワイルドバンチ』は今日観ると、子供と女がやたらと出てくる映画なのが、とても気になった。
  • いわゆる「最後の西部劇映画」であるが、最後であってもそれは「西部劇」であり、やはりペキンパーはラストで微かな希望を残している。
  • しかし、老いたオヤジたちばかりが出てくるが、これが皆な最高に良い顔なのである。現在のアメリカ映画では、これだけ見事なオッサンの顔をずらりと揃えるのは難しいだろう。無法者を描くのも巧いが、制服を描くのもペキンパーは巧い。
  • 夕方から出掛けて、三宮に。
  • センター街のジュンク堂で、柚子と待ち合わせるつもりだったが、独りでぷらっと立ち寄った軍事物の棚の前で、ふとしたきっかけで、やたらめったら第二次大戦の独ソ系の戦車、戦闘機に詳しいお兄さんに話しかけられ、世界中の軍事博物館を回って戦車を見てきた成果のあれやこれやを拝聴する。お兄さんと別れ、柚子と邂逅。お料理の本などを眺めてから、ムジカへ。のんびりとあれこれ食べて、帰路に。
  • 荒俣宏の『帝都物語』を読みたいと柚子が云ったので、真夜中、本の山や積み上げた段ボール箱を引っ掻き回して、やっと探し当てる。ぱらぱらと拾い読むが、最初に読んだ小学生のときより、引っ掛かる単語や人名が増えていて、やっぱり面白い。

*1:メイキング映像として収録の『ワイルドバンチ:アン・アルバム・イン・モンタージュ』を観ると、これはペキンパーがマパッチ将軍役のエミリオ・フェルナンデスと電話で話していて、フェルナンデスが子供の頃の思いでを語ったときに、閃いて、それをオープニングで使おう!と決めたらしい。ちなみにこのメイキングのなかでペキンパーの声を当てているのはエド・ハリス