転院準備と私の好きな『パルジファル』。

  • 会社を休んだ柚子と、朝から姑の病院に。義姉もきていて、担当医の紹介状を持って、彼女の車で市民病院に連れてゆく。待ち時間が長く、姑、へばる。やっと受診し、転院は明日と決まる。義姉と姑は外に出て、柚子と、こちらでの担当医(福山庸治の漫画に出てくる眼鏡のサラリーマンみたいな顔である)と話をする。数カ月の延命は期待できる場合もあるので、抗ガン剤での治療はやってみてもよいのでは、と云われる。ただし、姑の体力がそれに耐え得るかどうかが問題。ごはんを食べられるようにならなければならない。
  • 病院の食堂で、皆で昼飯を食べる。姑は饂飩を少し啜る。残りは義姉と、私で食べた。
  • 夜、東京行きの夜行バスに乗り、大阪駅から出発する。途中から激しい雨。雨支度は何もしてきていないが、東京の空は?
  • ところで、所持している『パルジファル』の録音の一部を、或る理由から取っ替えひっ替えして聴いているが、気に入ったものはどれもバイロイトでのライヴ録音だった。
  • 緩急自在で、最もバランスが取れているのはティーレマン指揮の2001年のもので、もう少しやり過ぎると弛緩してしまうその寸前で奇跡的に統御された、たっぷりとした音を聴きたいときはジェイムズ・レヴァインによる1985年のもの。このふたつが双璧である。そして、冷えびえとしたのが聴きたいときはブーレーズの1970年で、明るくてぱりっとしたものが聴きたいときは1953年のクレメンス・クラウスを選ぶ。クナッパーツブッシュレヴァインティーレマンのがあれば要らないし、アバドは気が抜けていて、ケーゲルや晩年のカラヤンのものは耳が疲れる。クーベリックも悪くないが何か突出したところに欠ける。