電車は待ってくれない

  • 夕方からMR邸で「堂山カンタービレ」第五回。
  • MT氏とI嬢がどういうふうに作曲を始めたのかと云うことなどを訊く。
  • I嬢の履いている靴下が怖ろしく可愛らしい。足の指の部分が一本ずつ分かれていて、それぞれが魚になっており、その上の甲のあたりでは、猫たちが爪先のほうを向いて、腹を空かせているのである。
  • 終電車にあと一分で乗り遅れる。駅では酔客が駅員に喚き散らしていた。柚子に電話。呆れたような、淋しいような声。
  • MR氏に迎えにきて貰い、ひと晩泊めていただく。死刑と国家と仇討ち、吉本隆明の講演、いまの日本に満ちる「空気読めよ」の合唱の気持ち悪さ、田中小実昌の翻訳のとんでもない素晴らしさ、吉田健一のことなどを、明日朝イチでMR氏は仕事があるにもかかわらず、こちらの精神がカッカと火の点いたみたいになり、夜更けまであれこれと話す。
  • MR氏が敷いてくれた蒲団の上で、六時前に、むくりと起き出す。眠るMR氏を起こさぬようにしながら、御母堂に挨拶をして、帰路。