『ヤリタイキモチ』を観る。

  • U君と大阪駅で待ち合わせ、市内某所に於ける、細川博司監督の『ヤリタイキモチ』*1の試写会に潜入する。
  • この映画で大変優れているのが、剣戟のシーン。剣で渡り合いながら、躍動し激突する肉体の速さを捉えようとする監督の細川氏キャメラと編集は、実に情熱的。しかしそれに比べて、些か焦点が定まらぬのが銃撃戦。香港マフィアの頂上決戦を、拳銃や自動小銃と云った飛び道具を一切使わないでゴミ箱やら石やらそこらに転がっているものを活用してファイトする、DIY精神が溢れ返るジョニー・トーの『エレクション』と云う映画があるのだが、そのように、銃撃戦のシーンにバッサリと大鉈を振るってみたほうが、寧ろ映画に拡がりと余裕が出てくるのではないかと思った。
  • だが、映画の神様が降りてこられている箇所は剣戟の他にもあり、河っぺりに腰掛けて、或いはバスの停留所で、ぼんやりとしている女主人公の廻りをぐるぐると廻りながら流れている、無為に似た半透明の空気の描写。もうひとつは、女の尻と、タンクトップを緩やかに膨らませる乳房の頂にぽっちりと浮いている乳頭を捉えるカット。剣戟のシーンと共に、監督の「トリタイキモチ」がだだ洩れで、これはとても素晴らしいことだと思う。
  • そして、ヒロインと対峙する殺し屋を演じる、湯浅温子と云う女優の身体的な動きのキレの良さに痺れる。また、「シアターシンクタンク万化」でお馴染みの高橋明文がヤクザの役で出ていて、これが妙に強い印象を残す。
  • その後、立食パーティに参加させていただき、監督を始め、スタッフの方と少し話をする。監督から宣材やスチールを撮影されたカメラマンのH氏を紹介される。