『ナイト&デイ』をみる

  • 夕方から新開地へ出て、三宮へ向けてぶらぶらと歩きながら、古本屋の百円とか二百円の棚を漁る。
  • 柚子と待ち合わせて、ミント神戸のレイトショウで、ジェームズ・マンゴールド(そう云えば『コップランド』の監督なのだなあ)の『ナイト&デイ』をみる。スクリューボール・コメディとしてよくできていて、とてもいい。
  • きわめて濃密だが、テキパキとした見事なアクションが展開される。しかし、それが賢しらな算術に堕する直前に、媚薬の効能の如き朦朧とした眠りが訪れて、アクションはその密度の濃さを削ぎ落とされ、幾つかの経過点だけが示されるに留まる。やがて、時や場所が変わり、再び贅沢なアクションが展開されることになるが、やはりそれが派手な退屈に陥る前に、あの魔法の眠りが訪れて、映画の運動はその絶大な熱を裡に保持したまま、次のアクションへとパスされてゆく。そして、これが何度も繰り返されるうち、このパスこそが、登場人物たちの振る舞いそのものを書き換えてゆく。トム・クルーズキャメロン・ディアスとなり、キャメロン・ディアストム・クルーズとなる。彼らが身体を張ったアクションを厭わず、次々とこなしているということが、この映画の笑いとロマンスの総てを支えており、そのムーヴィ・スターっぷりが、大変気持ちが良いのである。
  • ところで、ポール・ダノはどうやら、彼が出ている映画はみるべきである、という俳優になってきている気がする。
  • 映画館に入る前に柚子が買ってきてくれたパンをもさもさと食べるが、腹は満たされたとは云えず、けっきょく、帰宅してから柚子が作ってくれた塩焼きそばを食べて(美味)、すっかりくちくなる。