『ダーク・シャドウ』をみる

  • 柚子とミント神戸のレイトショウで、ティム・バートンの『ダーク・シャドウ』をみる。十八世紀の英国から始まって1972年のアメリカに飛んでベラ・ヒースコートのセンチメンタルな旅が描かれてコリンズ家の屋敷に辿り着き、奇妙な住人たちが紹介されるあたりの、だらだらとした感じは、とてもいいと思ったが、ジョニー・デップの屋敷への帰還ののちは、その優雅で弛緩したリズムはすっかり失われてしまい、そのあとはずっと終わりまで、エヴァ・グリーンというとてもきれいなお人形さんを手に入れて、それで遊ぶのが愉しくて仕方がないティム・バートンがひたすらエヴァ・グリーンを弄び、エヴァ・グリーンを眺めるための映画となる(それはそれでとても充実していたので全然構わなかったが、とは云うものの、あの最初の十数分のだらだらとした感触が消えてしまったのは、やはり大変惜しいと思う。あれがずっと続いていたら、いちばん好きなティム・バートンの映画(柚子と結婚式を挙げた次の日にふたりでみた『コープス・ブライト』を超えて)になっていたかも知れない)。