• 仕事を終えて帰宅して、晩御飯を食べてから花組新人公演の《エリザベート》の録画をみる。ゾフィを演る桜一花はこのときから立派に桜一花なのだが、その後ずっと円熟しつつあるのだということや、未涼亜希はもうすっかり今とおなじ未涼亜希にできあがっていて、それはとても見事なのだが、これがたぶん男役の難しさで、これだけ高水準に纏まってしまったものをもういちどどう壊して新しくつくることができるかが、このあとのまっつの面白さ(または困難)になってくるんだろうな、などと思う。蘭寿とむのトートは見目麗しい好青年のトートで、終わりの挨拶が蘭寿とむらしい折り目正しさで綺麗だった。
  • そのあと、コーエン兄弟の『ディボーズ・ショウ』の続きを終わりまでみる。大変痛快な映画だった。キャサリン・ゼタ=ジョーンズが素晴らしい。ひたすらゴージャスで美人で、だからこそ可笑しい。ジョージ・クルーニーも同様で、こういうコメディを嬉々として演っているときが最も魅力的だと思う。その他の俳優たちも皆とても楽しそうで、シニシズム(の克服?)に就いてずっと考えているコーエン兄弟だが、彼らの映画づくりはしかし、やはり非常に巧いと感心する。ひとの死の唐突さもまた。彼らの映画のなかでも、すごく好きな一本。
  • しかし巷間で使われる「アメリカ映画っぽい」とか「ハリウッド映画みたいな」という言葉ぐらい杜撰なものはないと、いつも思う。