• 仕事のあと、堂山のディスクユニオンでCDを引き取ってから環状線で福島まで出て、ザ・シンフォニー・ホールの日本センチュリー交響楽団の第278回定期演奏会(指揮は飯森範親)を聴く。開演前にロビーで、ユースオケのメンバーがリゲティの《六つのバガテル》をやっているのを聴けたので、得したような気になる。
  • ショスタコーヴィチの《ヴァイオリン協奏曲第1番》(下手の端のほうの席だったせいもあるだろが、熱演だった三浦文彰のヴァイオリンのソロよりも、いきなり不気味に入ってくるチェレスタ(橋本礼奈)の冴えた音色こそが最も印象に残った)のあと、ブルックナーの《第3番(1873年版)》を聴く。シモーネ・ヤングの録音を何となく聴いてからすっかりハマってしまい、ケント・ナガノノリントンとLCPの録音も手に入れて聴いているうちに、この演奏会を見つけた。飯森の指揮は何度か聴いているが、快速できびきびしたもので、オーケストラはこれに懸命に食らいついてゆく。このシンフォニーが私を捉えたのはなぜなのか。ワーグナーの記憶がこびりついているからなのか、とても美しいシークェンスが歌われた後に、ふいに黙り込んでしまって、そのあとでまた別の歌が流れだすこの感じが好きなのか、よく判らないのだが、視界の前面はほぼ奏者たちの足ばかりというような席で、時折は上を向いて、天井の白い膜のような半透明の反響版に、断片になって映るオーケストラを見つめながら聴いたブルックナーの《第3番》には、大変満足した。ヘルニアのせいで左の足が痺れまくってしまったので、残念ながら飯森のスピーチは聴かずに退席。
  • 電車の中で丸山眞男の「軍国支配者の精神形態」を読む。