• 昼前にだらだらと起きると柚子から「しま」が昨夜からちょっと調子が悪かったことを聞かされる。土曜だが、いつも行く動物病院は一日開いているらしく、まだ午前診察が間に合う時間だったので、慌てて準備をして「しま」をリュックに入れ、三人で歩いて病院まで。「しま」は採血されて、午後四時以降に再び来てくださいとのこと。
  • とても安価だったので手に入れてしまった中原弓彦の『喜劇の王様たち』の、『世界の喜劇人』とは被らない部分を、ぱらぱらと読んでいる。『世界の喜劇人』の「のっけから自分の過去について書くのは、どうかと思われないでもないが、これこそが私の方法なのだから」と始まる「はじめに」はなく、「まえせつ」という全然別の序文があり、もちろん「チューリッヒ市の町なか」から始まる「世界の喜劇人」と題された第一部もなく、名批評である「喜劇映画の衰退」も「いつか、テレビで」ではなく「先日、テレビで」と始まる。そして、「まえせつ」で「映画にあまりツヨくない方は」これから読めばいいと書いてある「パイの投げ方について」という「戯文」がとてもいい。「あとがき」には山川方夫と並んで「江藤淳氏は、文章をほめてくれた」という謝辞もある。すると、やっぱり大島渚がタイトルをつけた『笑殺の美学』が気になってくる。
  • 五時前頃から再び柚子と「しま」と三人で動物病院に。検査の結果は、胃腸炎だろうとのこと。点滴のあと、注射を2本打ってもらう。最後のがちょっと痛かったようで、「しま」が少し唸って怒っていた。終わると昼と同様、自分からリュックの中にぴょんと飛び込んで、不満そうに丸いお尻を向けている。もう若くないので、とにかく、あったかくしてあげてください、ちょっとまだ調子が今ひとつなら、週明けにも点滴に来てくださいとのこと。