- 仕事を途中で抜け出して、大阪音楽大学へ。卒業演奏会で、I嬢の作曲した曲を聴くため。開演直前にギリギリで会場に滑り込む。「PROVOKE」の「M2」こと、MR氏とMT氏と邂逅し、彼らの隣の席に座る。パンフレットで曲名を確かめる間もなく、すぐに演奏が始まる。
- I嬢の曲を聴くのは初めて。その総てが終わってから召喚され、その総てが回想され、再びその総てが終わった地点で忘却される、或るラヴ・ロマンスを想起する。弦の響きが、とろりと濃密で甘く、フルートの独奏は、時折、狂おしいほどの性愛を奏でる。シェーンベルクの初期のとてもロマンティックなものや、武満徹の仕事で私が最も素晴らしいと思う映画音楽などの、それらの肌触りと近しいものを感じる。そんなふうなイメージを勝手に紡ぎながら、客席に蹲っていた。
- 終演後、パンフレットで曲名を確かめると「月が涙に染まる頃 フルートと室内アンサンブルの為の」と題されていた。素敵な曲を聞かせていただいたと思う。感謝。
- その後、大学のなかの喫茶スペース「ぱうぜ」*1で、嘗て此処で学んでいたMT氏とMR氏とあれこれ歓談。このふたりは現代音楽を学んだ作曲家であり、私がまるで持っていない切先鋭い知のナイフを少なくとも千本は持っているので、話を聴いていると実に面白い。
- 山口情報芸術センターの坂本龍一と高谷史郎の『LIFE』のインスタレーション*2は素晴らしいらしいと云う話を聴く。『LIFE』は実際に公演を観て、そのときは複雑な気持ちを抱いたが、のちのち寧ろ好きな作品になったし、法然院のライヴも良かったし*3、うー、これはやはり観に行くべきか。
- 丸山眞男が如何に面白かったかをおふたりに熱弁するうち、じぶんが今、どれだけ激しく丸山眞男を面白がっているかと云うことに、事後的に気づく。
- しかも、今読んでいる福田和也の『イデオロギーズ』も、かなり面白いのだ。
- MT氏と庄内駅で別れ、MR氏と梅田まで一緒に戻り、車中ではお互いの柄谷行人の受容史に就いて話す。MR氏と別れ*4、再び会社に戻り、少し仕事を片付け、帰宅。
- 柚子がくたびれて寝ていたので、久しぶりに「どん兵衛」を食べる。
*1:帰宅後、I嬢からのメールで知ったのだが、真上から見おろすとグランドピアノの形状をしているそうだ。
*3:http://d.hatena.ne.jp/ama2k46/20050629
*4:ちなみに、MR氏のこの日の日録。 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=376322953&owner_id=104817