雨は続くらしく、『白昼の通り魔』をみる。

  • 朝起きたときから、ずっと雨。
  • 皿洗いをして、近所の郵便局に行き、古典の参考書の「音便」の項を勉強する。
  • それから、大島渚の『白昼の通り魔』をDVDでみる。たぶん大島の映画のなかで、最もカット数の多い映画なのではないか。しかし、短いショットが異様に重ねられるのは、むしろ、それによって滑らかさが出てくる、と、いうようなことでは断じてない。この映画に於ける、きわめて短いショットの積み重ねは、ひたすら反復とズレを同時に生み出し続けることだけを狙っている。それは、まさに鏡の乱反射なのである。だから、映画の後半、新幹線のなかで女ふたり(小山明子と川口小枝。この映画は、けっきょく、このふたりの女の映画なのだ!)の闘争がさらに加速し始めるとき、化粧室の三面鏡が、おそろしく巧みに用いられるのだ。
  • ところで、大島渚の映画のダイアローグは、例えば黒澤明のそれと比べて、とてもよく聴き取ることができる(いわゆる「大島組」と呼ばれる俳優たちは皆、とても素敵な声をしている。そして、その台詞まわしなどを、ちょっと真似してみたりしてしまう)。ポリフォニックな「声」や「うた」の演出と云うことに関して、大島渚は、ちょっとずばぬけているように思えるのだ。
  • すっかり財布にカネがなくなったので、雨の中を自転車でアルバイトまで。帰宅して、MR君と電話で少し話す。
  • それから、柚子と晩御飯を食べているとき、玄関の脇に土が入っているまま、ひとつ空いている植木鉢の話になり、何か欲しい花があるかと訊ねると、パンジーであると、柚子が云う。貰った種もあるとのことなので、もう零時近い時間だったが、柚子に部屋で種を探しだしてきてもらい、その間に、私は植木鉢を土間に引っ張り込んできて、土をほじくり、「しま」と柚子が見守るなか、パンジーの種を植える。
  • モザイク弦楽四重奏団の奏でるシューベルト弦楽四重奏曲第14番《死と乙女》を、きょうもずっと聴いている。緊張感と疾走感のふたつに、ぞくぞくさせられる演奏であり、とても素晴らしい。