- 洗濯機を取り込み、洗濯機を廻して洗濯物を干す。リュック・フェラーリの作品集をずっと聴いている。音の配置やら響きやら、とても繊細な操作をしているのだろうけれど、それがまるで神経質なふうにも、工夫の押しつけにもならないで、むずむずするような多幸感に転じるさまが、すごく面白くて、耳が喜ぶ。
- 仲正昌樹の『今こそアーレントを読み直す』を読み終える。とてもコンパクトなかたちでアーレントの「保守」としての可能性が(特に、アーレントの遺著『精神の生活』と『カント政治哲学講義』を読み解くなかで)押し開かれている。例えば、こんなふう。
善/悪という、一見すると極めて主観的な価値についての「判断」を行うに際して、自分と同じ共同体を構成する他者たちの視点を取り込んでいる(…)。善/悪の判定の根底に、他者たちの過去の考え方や判断価値が潜んでいる(…)。そうした「過去」を背景にした「判断」が、私がこれから行動を起こそうとするにあたり、自分の取るべき立場についていろいろと「思考」し、最終的に自らの「意志」を形成するに際しての基準になる。そういう形で、「思考」や「意志」は「判断」と繋がっているのである。「判断力」は、「過去」と「現在」と「未来」を、そして個人の「精神の生活≒観想的生活」と「活動的生活」を結ぶ、極めて重要な能力として位置付けることができる。