• トマス・ハーディの『カスターブリッジの市長』を読み終える。終わりのあたりに出てくる、「人間の改善の可能性を最小限に抑えるため、神々によって意図された精妙なからくりがあらゆるもののまえに立ちさがっていた」ということを、あらゆる技巧が用いられて、ひとつの長篇に織り上げられている。世評にあるように、自然描写は巧みであるが、ここで実現されているものはだから、たぶんむしろ超自然描写なのであり、それがとても面白い(例えば、おなじ川の流れの渦にヘンチャードが見出すものとエリザベス=ジェインが見つけるものの違い)。
  • イアン・マキューアンの『土曜日』を読み始める。小説のリハビリを続ける。