• ヴェントゥーリの『近代絵画の展開』を読んでいる。ルネサンスの巨匠たちにしばしば未完の作品がみられるのは何故か……「中世は一般に、絵画を完全に仕上げるということが職人(アーティザン)の仕事としてのぞまれていた。が、ルネサンスでは、絵画は手の仕事としてよりは、精神の仕事であることが強調された。だから、このようにレオナルド・ダ・ヴィンチミケランジェロやジォルジョーネが自己の作品のなかで、自己の想像力の真の意図が表現されたと感じたときには、彼らにとってもはや実在をいかにも再現したと思わせるような幻影的な描写はどうでもよかったのである。この幻影的な描写に対する無関心こそ、藝術の自立性の方向に向わせる一歩であった。」