• ゴミを出すので早起きして、そのままもういちど眠る気にもならず、プレーヤーに突っ込んだままになっていた森一生の『ある殺し屋』をみる。気持ちのよい映画で、続篇の『ある殺し屋の鍵』もみる。前作よりさらに好き勝手に遊んでいる感じが増しているのと佐藤友美がきれいなので、また気持ちがよくなり、蔵原惟繕の『夜明けのうた』もみる。これがとても好みの映画で、大当たりだった。社会批判を伴う(脚本に如実であるが、それはもちろん時代の制約を負っている)、きまじめなんだけれど画面の志向は徹底したモダニズムというのは、日本映画にはあまりなかったような気がする。だがそれはこの映画が公開された1964年の日本の文化の先端を貫いている気分のように思う(丹下健三のオリンピック・プールがこの映画で担っている役割の大きさ)。しかし、そんなことよりも、浅丘ルリ子がとにかく素晴らしいのと、間宮義雄のキャメラの光への貪欲さである(大島渚組の戸浦六宏小松方正も出てくるが、蔵原にとって重要だったのは後者の「声」だったようだ)。蔵原惟繕は、ちょっとまとめてみてゆきたいと思う。