• 朝はだらだらと起きて、ノンサッチのエリオット・カーター箱のなかでいちばん気に入った、《チェロとピアノのためのソナタ》、《弦楽四重奏曲第一番》、《フルート、オーボエ、チェロとハープシコードのためのソナタ》が入っているCDを聴く。聴きながら「しま」と遊んだり、『混迷するシリア』と『白痴』の続きを読んだりしている。昼はスパゲティを茹でてバターと生卵と醤油を合えて食べて、風邪薬を服む。また、本を読んだりする。
  • 夕方になって出かけて柚子と三宮で待ち合わせて、股座に穴が開いてしまったジーンズを買い換えて、シャツも一枚買う。ムジカでお茶を呑んで、駅で柚子と別れて、ミント神戸のレイトショウで独り、J・C・チャンダーの『アメリカン・ドリーマー理想の代償』をみる。重苦しく異様な緊張感がずっと途切れることなく、むしろじくじくと蝕むように増してゆきながら終わりまで続く、とても奇妙な映画だった。しかし、これはかなり凄い。
  • 真夜中、そろそろ出さねばならない書類を書きながら机に向かっていると、すぅすぅと繰り返す小さな音がある。椅子に積んだ座蒲団の上で、香箱になった「しま」が寝息をたてながら眠っていた。
  • この日記も途切れとぎれだが、十年も書いているのか。まったく賢くなっていないじぶんに驚き呆れる。