• 午後から出かける。大阪まで出て写真を撮るつもりだったが、陽が落ちるのが早いので、こんな時間から出ていては、撮る時間がほとんどなくなる。どうせそれなりに家や建物が密集していて知らない路地があるなら同じだと、いつものように太陽を背にして、線路沿いをどんどん歩いてゆく。家から三〇分ぐらいの場所だが、まったく来ることのない場所なので、とても面白い。何のことかよく判らないけれど、気になったものとか光のちらちらするのを撮る。
  • 何となくまた『ソドムとゴモラ』の続きを読み始める。「心の間歇」のあとで、アルベルチーヌとの関係が一気に迫り出してくる。「レンズのこちら側から見た事件、という意味で、そのレンズはけっして透明でないし、レンズの反対側にある真実がなんなのか、私には分からない」が、不可視の「もうひとりの人物は、きっと私よりも強い嫉妬を感じていたにちがいない」という「私」の嫉妬の構造の面白さだとか、アケルマンの映画を見たのでアルベルチーヌの最後を知っているのだが、もう『ソドムとゴモラ』の段階で「サッポーは海に飛び込んだ」のひと言によって、それが仄めかされているのを知ったりして、驚いたりする。