• 仕事が終わると、ちょうど外で激しい雷鳴が轟く。傘を掴んで、シネマ神戸まで出て、フランソワ・オゾンの『苦い涙』を見る。ペトラをペーターにして組み立てた映画だが、涙の苦さはずいぶんマイルドになってしまっていて、ハメ撮った映像と戯れるラストなどは、甘い涙でしとどに濡れている。ドゥニ・メノーシェをはじめ俳優たちはとてもいいが、しかし、いちばんおいしいところはイザベル・アジャーニハンナ・シグラが持っていくのだから「女優」の映画であり、オゾンがファスビンダーを敬愛しているのは判るが、些かの緊張感もなくあっさりと建物の外に出てしまっているカメラと言い、あまり出来のいいリメイクであるとは思えなかった。
  • 昭和シェルのガススタンドの跡地はマンションになるらしい。新開地の周辺もじわじわつまらない風景になってくるようで、うんざりする。