- デイヴィッド・リンドリーの『そして世界に不確定性がもたらされた』を読み始める。そのものずばりの科学の啓蒙書よりも科学史の本を読んでいるほうが自分にとっては面白く、より理解できる気がするのは、今の私が漠然と分け持っている常識よりも以前の話からしてくれるからで、或る時点で起こるぎくりとした飛躍が、自分の中で追体験できるからだろう。
- 夜はフェスティバル・ホールで、大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を、ミシェル・タバシュニクの指揮で聴く。ちょっと長めの指揮棒で、ふわーっと指揮する姿がとても好ましい。ゆったりしたテンポで曲の仕組みを聴かせるモーツァルトの交響曲《第36番》のあとにアルバン・ベルク《管弦楽のための三つの小品》で、これがいやらしいぐらい濃密だった。休憩を挟んでリヒャルト・シュトラウスの《ツァラトゥストラはかく語りき》で、新ウィーン楽派は編成なども含め、本当によくリヒャルト・シュトラウスを研究したのだなというのが判った。タバシュニクの指揮はもっと聴いてみたい。