引きこもり映画祭

  • 昼前から、柚子は用事で出掛ける。
  • 『書かれた顔』の続きを観る。後半は「Twilight Geisha Story」と名づけられた劇映画。ふたりの若い男の狭間で、恋愛遊戯の綱渡りをする、ちょっと哀感溢れる芸者を玉三郎が演じる。しかし、本当に玉三郎は美しい。また舞台を観に行きたくなる。できるなら、もっと年齢を重ねた玉三郎を観たい。
  • ダニエル・シュミットの映画はいつも、影がとても綺麗だ。歩いてゆく玉三郎の顔に写る、お茶屋の格子の影の美しさ。
  • そのまま続けて小津安二郎の『秋刀魚の味』を観る。恐ろしくモダンな色彩デザイン。黒白の小津の映画も良いが、私はこちらのほうに惹かれる。ちなみに、私の大好きな岡田茉莉子も、長男のしっかり者の嫁の役で出ている。
  • 物語は笠智衆の演じる初老の会社員が、友だちに薦められて、岩下志麻が演じる娘を嫁に出すと云うものだ。娘が嫁いで行った夜、彼女の部屋は二階なのだが、笠智衆が階段の下に立って上の部屋を見つめる。そのとき初めて階段が映る。その階段の絵が、何とも云えない。ぞくっとする。
  • ちょうど観終えた頃、階下から姑に呼ばれ、昼飯に素麺を食べる。続いて、ジョージ・キューカーの『フィラデルフィア物語』を観る。キャサリン・ヘプバーンの勝ち気な愛らしさが堪らない。