わたしの考える日本映画に就いて

  • 3月17日、私が最も好きだった日本映画の男優である、船越英二が死去したそうだ。この日は彼の誕生日だったとか。合掌。
  • 船越英二と云えば、最初は『暴れん坊将軍』の二代目ジィか、ポリデントの「オジイチャン、オクチ、クサーイ」のCMぐらいしか認識がなく、寧ろ侮っていた私だが、大学の頃に纏めて観た、市川崑増村保造の昭和三十年代の傑作群に多く出演していて、どうしようもない暗さと、スマートな軽さを平気な顔で併せ持てるそのスタイルに、すっかり大ファンとなった。それらの映画の中での、細身のネクタイと背広(スーツ、なんて野暮なものではない)の姿が、あんなにさらっと格好良かった日本の俳優は、ちょっと他に思いつかない。
  • 宮崎駿の新作が発表される。タイトルは『崖の上のポニョ』。題名を見れば判るように、第二次大戦時のイタリアの対独パルチザンの八面六臂の大活躍だったり縦横無尽の無活躍を描く映画……ではない*1。しかし、全篇手描きで、と云うことは、『ハウルの動く城』以上にますます、宮崎駿が自身の絵を好きなように動かすことを重視する映画になるのか。それならば、神の手を持つアニメータ宮崎である、どんな話でも傑作になることは疑いなく、期待大。