泊り込み。

  • 柚子のいない家と云うのはこんなに淋しいものだと思わなかった。彼女がいないと私も、家の中もエントロピー増大が甚だしい。
  • 何とか皿洗いを済ませ、おろおろしていると柚子が病院から帰宅する。
  • 買ってきてくれたケーキとプリンを、チャイを煎れて食べる。
  • 再び柚子は病院に。
  • 明日使う履歴書も書いて、そのあとを追い掛ける。今夜は私が病室に泊まり込みなのである。美ち奴の「あゝそれなのに」*1のこと、夫が会社で仕事をしていると思っていたら外で浮気していたのがバレて、細君が怒っているのだ、と説明すると、そんなことは判っている、具体的に歌詞の何処にそれが書いてあるのかを訊いているんだと云われる。
  • 姑は寝たり起きたりを繰り返す。突然、都はるみの「北の宿から」の冒頭「♪あなた、変わりは、ないですかぁ」と唄い始め、すぐに「変わりましたぁッ!」と叫ぶ。
  • 夜中の三時に、姑のお気に入りの生茶がなくなったので、病院の一階の自販機まで買いに行く。これは殆ど肝試しだなと苦笑するが、病院のなかはすかんと明るくて怖さは少しもない。
  • 朝まで、少し寝ては起こされ、を繰り返す。窓の外が明るくなってくると安心するのか、明け方、ようやくぐっすり眠り始めるが、七時を過ぎると看護婦さんやら主治医やらの訪問がひっきりなしに始まり、結局再びゆっくり眠ることはできず。