分裂する名前。

  • きのうの夜、また勅使河原宏の『動く彫刻』を自室のTVでみていると、そろそろ終わろうとする頃に柚子が「しま」を抱いて部屋に入ってきて、「何をみているの?」と訊ねたのだった。ジャン・ティンゲリーって云うひとが昔東京で……、と説明していると、最後のとても素敵なショットが始まり、「みてて、みてて、コレ、めちゃめちゃ可愛いから!」と私が画面の中央の灰色の渦巻きを指差しながら喚いて、しばらくすると実際、柚子も「あ!」と小さく驚いたのだけれど、その次にスタッフの名前が字幕で短く出て、それをみた柚子が「音楽がイチヤナギ・ケイだから(みていたの)?」と云ったので、「これはイチヤナギ・トシと読むんだ」と答えたのだけれど、そう云えば磯崎新の「都市破壊業KK」では、イソザキ・アラタとイソザキ・シンが分裂するのだった……と、一日経って、アルバイトに向かう暗い道の途中、或る鉄橋の上で、ようやく思い出したのである。
  • きのうの夜は蒲団で一柳慧の『音を聴く』を読みながら眠り、けさは「しま」に足に噛みつかれて起きたのだけれど、昼過ぎには小林桂樹の「牟田刑事官シリーズ」の再放送を流しながら洗い物、そしてベランダから洗濯物を取り込むのを済ませて、23時過ぎまでアルバイトの夜。柚子とドーナツ屋で待ち合わせて、少しお茶を飲んでから帰宅する。帰ってから、おでんをふたりで少し食べる。