- 朝起きると雨が、強い風に煽られながら滴を撒き散らしている。折角きのうの夜洗濯物を干したのに、ベランダはすっかり濡れている。
- 夕方からアルバイト。雨が止まないので、駅まで歩いて電車に乗って出かける。終わってから、本屋に寄って、ちょっと身体を動かしにゆく。外に出ると雨がやんでいて、ちょうど柚子から連絡があり、スーパーで卵を買って帰宅する。
- 柚子とごはんを食べてから、嫌がる「しま」を宥めすかして膝の上に抱き上げて、ずいぶん伸びて鉤のように鋭く尖った爪を、爪切りでぱちぱちと切る。
- 柚子は、とても面白い。しかし彼女は、わたしは別に面白くないよと云う。そういう柚子がまた面白い。
- 近くの公園の桜はずいぶん花が開いてきている。拙宅の隅の梅の木は、あちこちへ枝をずんずんと空へ延ばしている。むしろ、幹がもう少し太くなってくれるほうがよい。
- TTT君と少し、Skypeでポチポチと駄弁る。
- 五時前になって、「しま」が寝室から出てきて、私の足許で「なアなア」と鳴きはじめる。床から積みあげてある『漱石全集』の外函で「しま」が爪を砥ぐのは黙認してきたが、この頃、別の本の山でも爪砥ぎをしようとする（今も、クェンティン・ベルの『ヴァージニア・ウルフ伝』の外函に爪を立てたので叱ったところ）。階下で水を呑ませて、空っぽになっている器にかりかりを足して、彼女がごはんを食べるのをちょっと眺めて、それから、私は眠る。
