- DVDでドゥニ・ヴィルヌーヴの『プリズナーズ』をみる。お見事。複雑さを増してゆく物語が、やがてするすると収縮してゆくさま(脚本はアーロン・グジコウスキ。記憶しておこうと思った)。『ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス』のチアリーダーであるマリア・ベロが出ていて、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・ダノがまた痛めつけられる。アメリカの田舎町にアブグレイブが出現するさまを映し出す、ロジャー・ディーキンスのキャメラの深みのない寒々しさと痛々しい鋭さに感嘆する。
- そのままドゥニ・ヴィルヌーヴの『灼熱の魂』もDVDでみる。やはり或る拡がりのなかで始まる物語が、するするとひとつのところに向かって集束してゆく。世界に対する大づかみのモデルをまずこしらえ、さらにそれを整理して新たなモデルを組み立て、さらに出来上がったものをモデル化して……というのを繰り返してゆき、愈々それ以上ちいさくできないモデルを得られたところで、ひとまず映画が終わる。見事なメロドラマだった。