• 朝から仕事だが昼過ぎには終えて帰ってくる。柚子がつくってくれた弁当を家で食う。
  • DVDで、アンゲロプロスの『霧の中の風景』をちょっとだけみて、昼寝をする。この前作の『蜂の旅人』は、たぶん大島渚の『愛のコリーダ』をライヴァルとして撮られた(まずはハードコア映画として。マストロヤンニは本物の蜂に刺されるのかどうか。アンゲロプロスは『シテール島への船出』で父母たちを描き、こんどは兄たち(と、彼らの娘たち。若者たちを描くことを、アンゲロプロスはこれからも試行錯誤してゆくことになる)を描いてみせたのだが、あまりうまくいったようには思えない)映画だが、この『霧の中の風景』には『蜂の旅人』のヒロインが食い物屋のウエイトレスをしていたり、『旅芸人の記録』の俳優たちがまた道の向こうからぞろぞろ歩いてきたりして、これまでのアンゲロプロス映画のひとつの決算として撮られているような雰囲気がある(微妙に緩んでいるという気もしないではないが)。
  • ディオティマ弦楽四重奏団ブーレーズ弦楽四重奏のための書》のCDを聴いている。とてもいい。2012年の改訂版を用いているということだが、以前のヴァージョンより、沈黙の占めるウエイトがずいぶん大きくなっているように思われる。沈黙と云ってもそれは、次の音へ向かうための、バネのような緊張に満ちた間である。四人の奏者は全身を耳にして、その沈黙の底に息をひそめて、身を躍らせる瞬間を待っている。その張りつめたぐあいと、そこからいよいよ発せられる音のテンションの高さがすごくいい。