- タルディの『塹壕の戦争』を読む。白と黒の、太めの線だけで描かれた塹壕の胸壁は泥濘で波打っているようであるがよくみると、そのうねりは兵士の死体のそれで、腕が突き出していたりする。短いエッセイ(タルディが幼いころに祖母から聞かされた、第一次大戦に従軍した祖父の体験談について)を挿んで終わりまで続く漫画の語りは、場所も時間も登場人物も、いきなり始まって、いきなり終わって(死んで)、これがずっと繰り返される。間歇的に塹壕以外の場所のことが語られることもあるが、それがこのぐずぐずぬるぬるの地獄のループを出るきっかけになることはない。とてもいい。
- 読みながら眠る。眼が覚めると、隣の柚子との間に「しま」がもぐりこんでいて、彼女の顔がすぐ横にある。また眠る。