• 朝から柚子と出かけて、川村記念美術館まで行き、「カラーフィールド」展を見た。アンソニー・カロの《原初の光》に最も痺れたが、川村が持っていないフランク・ステラのシェイプド・カンヴァスの絵がとてもよかった。変形のカンヴァスだから、その端っこは余りの画布が折りたたまれていたり、あるいは画布が半端になって、支持体が露出してしまっている箇所もある。その部分は絵なのだろうか。絵ではないとするなら、何なのか。川村の所蔵のステラの《タンパ》は画布の縁はきれいに木材で覆われているが、その股座の部分と言おうか、「X」の中心のあたりには、わずかな画布の盛り上がりがある。絵という物質の中に既に、絵と呼んで良いのかどうか判らないものが入り込んでいるのが、ステラのシェイプド・カンヴァスの作品群であるとするなら、そこから彫刻のようにも見える絵画らしきものへ移行してゆくのは、自然な流れだったのだという気がした。あるいは、いわゆる初期のブラック・ペインティグである《トムリンソン・コート・パーク》は、エナメルを塗っている部分より塗っていない隙間(画布がただ露呈している部分)がこの絵を絵にしているということもできるだろう。今日はケネス・ノーランドもまとめて見ることができたが、ノーランドの絵もまた色の塗られた帯の部分を取り巻く塗られていない緩衝帯こそが気になった(もちろんステラはこれらを見ている、抽象表現主義に「遅れてきた青年」である)。絵を構成する絵ではない部分こそがゆっくりとステラを立体絵画へと導いたのではないか、という誰でも言えることを、私も確信するようになった。オリツキーの初期作もとても良かった。
  • 常設展では、今日はロスコの気分ではなく、マレーヴィチの《シュプレマティズム》の黒の中の鈍い緑のような輝きに惹かれた。エルズワース・ケリーにも惚れ惚れした。
  • 「しま」に怒られるのでそのまま帰る。