• 山本君の個展に向けて制作した絵画を、大作やイーゼル画をふくめ、部屋の外の陽のあたる場所にどんどん出して、みせてもらう。とてもいい出来のものが多くて、満足する。
  • 最寄の駅まで山本君に送ってもらい、川村記念美術館をめざす。きのうは逗子で、きょうは佐倉なので、この二日は総武線を行ったり来たりしていることになる。
  • サイ・トゥオンブリーの写真」展をみる。写真のイメージそのものよりも、それが定着された質のよい厚い紙こそが、トゥオンブリの晩期をよく伝えているように思う。
  • この美術館で、だれもこない建物の片隅でじっとみつめる一枚のレンブラントには、溜め息が出る。ジョルジュ・ブラックの《マンドリン》やロスコ・ルームは、もちろん素晴らしいのだが、嘗てバーネット・ニューマンの《アンナの光》の飾られていた部屋の壁面に、これもジップ絵画であると云えなくもないロバート・ライマンの真白な絵が架かっていて、これがとてもよかった。もう画家の作業は止まっているのに、画家の手が、今も動き続けて画面が更新され続けているような、打ち寄せる波のような感じが迫ってくるみたいで、とてもいい。フランク・ステラはやはり盛大に失敗しているのだが、これだけ大きな失敗には、しょぼい成功より価値がある。
  • 石川美子の薄い評伝が素敵だったので、何となく読みなおしていたロラン・バルトの『明るい部屋』を読み終える。ヴィガースハウスの『アドルノ入門』を読み始める。今まで読んだアドルノ入門書のなかでいちばん好み。
  • 東京駅まで戻り、八重洲の金券屋で新幹線の自由席チケットを買って、さっさと帰路。名古屋を過ぎたころ呑みませんかと諸根君からメールがあり、こんなことなら夕方まではだらだら東京にて、終電で帰ればよかったと思うがあとのまつり。